Chasseur Japon × Voice
Ari Fuji
藤 明里
Boeing 787 Captain
Profile
Ari Fuji
立教大学法学科卒業後、渡米してカリフォルニア州のパイロット養成学校で操縦免許を取得。本邦航空会社にてボーイング737型機で副操縦士に昇格。2010年7月、日本国内で初めての旅客機の女性機長となる。飛行訓練教官などを歴任し、現在はボーイング787型機の機長として世界中を飛び続けている。
インタビュー
interview
エレガントに生きるということ
藤さんが大切にしている言葉、またはこうありたいという生き方はありますか?
大学時代、大切な恩師から言われた言葉があります。
「エレガントに生きなさい」
当時はまだ若く、その意味を十分に理解できていませんでした。
でも今は、その言葉が人生の指針になっている気がします。
エレガントとは、もちろん着飾ることではありません。
女性だから、男性だから、年齢がこうだから。
そういう枠に縛られず、自分に与えられた個性や魅力を失わず、しなやかに生きること。
私はそう受け取っています。
そういう枠に縛られず、自分に与えられた個性や魅力を失わず、しなやかに生きること。
私はそう受け取っています。
人生には、ときに思い描いていた道とは違う景色が広がることがあります。
私自身、空を飛ぶ夢を実現しようとした頃、日本には女性パイロットを目指すための十分な養成環境がありませんでした。
だから私は、別の扉を求めてアメリカへ渡りました。
だから私は、別の扉を求めてアメリカへ渡りました。
ひとつの道が見えなくなったとしても、そこで立ち止まる必要はありません。
視点を変えれば、新しい景色が見えてくることがあるからです。
視点を変えれば、新しい景色が見えてくることがあるからです。
そしてその景色を見るために目の前にある課題を一つ一つこなしていく、その小さな積み重ねが、未来を切り開くのだと思います。
訓練で得たもの
日本初の女性旅客機機長になるまで、何度も壁にぶつかったと伺いました。その経験から学んだことは何でしょうか?
そうですね、パイロットへの道のりは、決して平坦なものではありませんでした。
ただ、振り返ってみると、そのすべての時間に意味があったように思います。
壁にぶつかること、思うようにいかないこと、あきらめそうになることも沢山ありました。
けれど、その経験の一つひとつが、今の私を支える力になっているのだと思います。
私たちパイロットにはログブックがあります。
飛行時間や機種、訓練の記録が残されていますが、私にとってその数字は単なる時間ではありません。
飛行時間や機種、訓練の記録が残されていますが、私にとってその数字は単なる時間ではありません。
その一行一行の裏側には、訓練で悔しい思いをした日もあれば、仲間に支えられた日もあります。
そして運航に関わる多くの人たちの努力があります。
そして運航に関わる多くの人たちの努力があります。
だから私は、経験に無駄な時間はひとつもないと信じています。
本物は時間の中で育つ
長年パイロットとして飛び続ける中で、価値観に変化はありましたか?
厳しい訓練や経験を積み重ねながら飛び続けるうちに、いつのまにか「大切なものを見極めること」や「本物を長く使うこと」の価値を感じられるようになった気がしています。
まぁ、そういう年齢になったということですね。(笑)
例えば、シャスールのココットのように丁寧につくられた道具は、使い込むほどに手になじみ、持ち主とともに時間を重ねていきます。
そこには効率や便利さだけでは語れない魅力があります。
そこには効率や便利さだけでは語れない魅力があります。
私は食べることも大好きです。
シャスールが生まれたフランスの人々の食文化に触れるたび、なんて豊かな人生を過ごしているんだろうと感じます。
食卓を囲みながら季節や人とのつながりを感じ、今ある幸せに浸る。
生きていく上で欠かすことのできない「食べる」という時間。
生きていく上で欠かすことのできない「食べる」という時間。
この時間をどう過ごすかによって、人生は色づき、満ち足りたものになるのではないかと思えます。
パイロットという仕事
パイロットという仕事を続ける上で、日頃から大切にしていることはありますか?
パイロットという仕事は、多くの方の命をお預かりする仕事です。
だからこそ、自身の体調管理も仕事の一部だと考えています。
だからこそ、自身の体調管理も仕事の一部だと考えています。
十分な睡眠をとること。
リラックスできる時間を作ること。
そして、きちんと食べること。
リラックスできる時間を作ること。
そして、きちんと食べること。
どれも特別なことではありませんが、安全な運航を支える大切な土台になっています。
「安全」は決して自然に生まれるものではありません。
見えないところで積み重ねられた準備や確認、そして習慣の先にあるものです。
それは体調管理も同じこと。
見えないところで積み重ねられた準備や確認、そして習慣の先にあるものです。
それは体調管理も同じこと。
忙しい毎日でも、できるだけ手作りを心がけています。
日々の食事は、今日のためだけでなく、明日の自分を支えるための準備でもあるからです。
日々の食事は、今日のためだけでなく、明日の自分を支えるための準備でもあるからです。
丁寧につくられた道具とともに、大切な家族や、気の置けない仲間たちと食事をする。
そんな時間が、きっと健やかな身体と心を育ててくれるのだと思っています。
そんな時間が、きっと健やかな身体と心を育ててくれるのだと思っています。
健康でいることは、自分のためだけではありません。
一緒に働く仲間のため、支えてくれる家族のため、そして私のフライトにご搭乗くださるすべての方々のためだと思っています。
一緒に働く仲間のため、支えてくれる家族のため、そして私のフライトにご搭乗くださるすべての方々のためだと思っています。
安全と信頼の、その先に
プロフェッショナルとして仕事を続ける中で、藤さんを支えてきたものは何でしょうか?
機長になってしばらくして、私は教官として後輩の指導にも携わっていました。
教える立場になると、さらに学ぶこと、新しい経験が増えていきます。それもこの仕事の面白さなのかもしれません。
料理の世界に終わりがないように、プロフェッショナルの仕事にも終わりはありません。
知れば知るほど奥深く、発見があります。
知れば知るほど奥深く、発見があります。
振り返ってみると、私の人生を支えてきたキーワードは「安全」と「信頼」だったように思います。
安全な運航は、一人の力で成り立つものではありません。
客室乗務員、整備士、運航に関わるすべての仲間たちとの信頼関係があってこそ実現できるものです。
客室乗務員、整備士、運航に関わるすべての仲間たちとの信頼関係があってこそ実現できるものです。
私がシャスールを愛用している理由も、どこかそこに通じているのかもしれません。
長い歴史の中で培われてきた品質への信頼。
そして、安全性に対する考え方にも共感しています。
長い歴史の中で培われてきた品質への信頼。
そして、安全性に対する考え方にも共感しています。
パイロットという仕事柄かもしれませんが、「大丈夫だろう」ではなく、「安心して使える理由がある」ということに価値を感じます。
食材に触れるものだからこそ、素材や製造基準が明確であることは、私にとってとても大切なことなのです。
会話という調味料
シャスールとの出会いで、特に印象に残っているエピソードはありますか?
日本には素晴らしい食文化がありますが、ヨーロッパにも、それぞれの国に根付いた食文化がありますよね。
昔、イタリアに住む友人に連れられて彼女の知人宅を訪れた時に、イタリアには「地中海式食生活」という考え方があって、過度な加工食品に頼らず、旬の食材を取り入れながら、ゆっくりと食事を楽しむことが、健康寿命の長さにもつながっているのだと教えてもらいました。
その知人宅のキッチンには、サイズ違いのココットがいくつも並んでいて、彼女は片手に白ワインのグラスを持ちながら、軽やかに料理をしているんです。
それぞれの鍋に食材を入れては火にかける。しばらくすると火からおろして、あとは鍋に任せる。
その間にテーブルを整えたり、私たちとの会話を楽しんだりと、その手際の良さはとても自然で美しくて……
その間にテーブルを整えたり、私たちとの会話を楽しんだりと、その手際の良さはとても自然で美しくて……
彼女はその後、優雅にお鍋を運びながら「今夜の会話が最高の調味料よ!」と、なんともラグジュアリーなセリフ。(笑)
私がシャスールに魅力を感じるのは、単に料理がおいしくできるからではなく、見た目の美しさ、それらがラグジュアリーかつエレガントな時間を生み出してくれるからだと思います。
未来へ向かう理由
恩師から「エレガントに生きなさい」と言われたあの日から、たくさんの経験を重ねてこられました。藤さんがこれからも未来へ向かい続ける理由を教えてください。
私は、これからも「あきらめない理由」を探し続けていきたいと思っています。
人生は好奇心の連続です。その先には新しい景色が広がっているのですから。
学ぶことも、共有することも、誰かの力になることも、まだまだ沢山あると信じています。
そして、どんな景色に出会ったとしても、その時を楽しめる自分でありたいと思っています。
それが、私なりの「エレガントに生きる」という答えなのかもしれません。
藤 明里